どうなる?!新庁舎及び(仮称)新福祉会館建設 ~こがねっとレポート145号から
- 建設の見直しを求める決議が可決
10月6日、第3回定例会最終日の深夜(正確には7日)に「新型コロナウイルス感染症が社会経済状況や市財政に与える影響に鑑み、新庁舎建設の見直しを求める決議」に対する質疑が行われました。
市長が示した今後5年間の中期財政計画(案)で、財政運営の健全性の指標とも言える財政調整基金が2025(令和7)年度末にわずか10億円になる見込みであること、今後多額の財源を要する学校施設の長寿命化計画に必要な積み立てがされてない状況もある中、庁舎等の建設費は新型コロナ前の目標84.4億円から総事業費が116億円にもなる中、現在の計画では大幅なコストダウンは見込めないため、市民生活や市財政に与える影響を考慮し、見直しを求めたものです。
■“見直し”とは、どこまで遡るのか
- 各会派の意見は
決議を提案した7会派の議員に対し行われた質疑では、「どこの時点まで戻って見直すのか」「求めるコストダウンの金額」などについて問われました。各会派でまとまった意見として表明したものではありませんが、概ね2~3年延長、1~2割(約8千万〜9千万円)のコストダウンを求めるものから、実質的に基本設計まで戻って大幅コストダウン(10〜16億円)を図るという意見まで様々でした。
“見直す”とは、どこまで戻る覚悟を持って決議するのか。さらに延長すれば年間約2.5億円の第二庁舎賃料の支払いも続くことになり、大変重い決断になります。生活者ネットワークは現時点で根本的な見直しを求めるという決議には反対の立場を取りました。議決結果は、賛成16人、反対6人で可決。11月16日の全員協議会で、建設費の財政計画が示される予定です。
◆議決結果
賛成16:自民(5)公明(3)共産(3)こがおも(2)カエル(1)情報(1)元気(1)
反対6:みらい(3)ネット(1)市民会議(1)緑つな(1)
- 新型コロナの影響とスケジュール延伸
これまで、2018年9月に市議会6会派12人で申し入れを行い、示した条件で補正予算が可決、基本設計がスタートしたという経緯があります。その条件とは、①清掃関連施設の敷地内暫定移設は行わない ②新福祉会館を先行竣工とする ③敷地東側の樹木を残す ④新庁舎の免震構造の地下を駐車場利用する というものです。①については、暫定移設にかかる1.6億円を節約できること、②については、2016年3月に耐震強度不足を理由に閉鎖された福祉会館の機能を一刻も早く回復させるため ④については広場の面積をできるだけ広く確保するため、でした。
しかし度重なるスケジュールの延期によって、福祉会館の先行竣工の必要性が意味を失いつつあり、清掃関連施設の本移設も視野に入ってきた中で、当初各条件を求めてきた会派にも温度差が生じてきています。
- 求められる議会との信頼関係
これまで紆余曲折を経て庁舎と福祉会館の複合施設として現在実施設計まで進んできましたが、様々な懸念があります。昨年春からの新型コロナ・パンデミックの影響による大幅な減収、浸水予想区域の変更による水害対策、建設資材の高騰などです。庁舎は免震で福祉会館は耐震という構造の違いの是正、広場の確保、議場の市民利用など、パブリックコメントに多数寄せられた意見が反映されていないことも気になるところです。
設計変更なく大幅なコストダウンは望めないことが質疑で明らかになっています。
議会はこれまで4回、市長へ決議を出し、説明を求めているにも関わらず、各会派との調整もなく実質的に建設に向けて進んできています。今回の見直しを求める決議は、市長が議会の理解を促す努力を怠ってきた表れではないでしょうか。
今後、議会との調整を図ることを求め、市民の利益を最優先にした庁舎建設を求めていきます。(安田けいこ)