マイナンバー制度の学習会を開催しました

 この10月にも簡易書留で配達されるマイナンバーの通知カード、これが届くとどうなるの? 何が変わるの? 何をすればいいの? などなど、知らされていないことばかり……新聞社のアンケートでも半数以上の人が「知らない」という結果が報道されています。
 届いたばかりの市報には、「メリット」といいことばかりが書かれていますが、デメリットはないのでしょうか?

 2015年8月17日、真夏日が続く暑い中、生活者ネットワークの田頭ゆう子議員林とも子議員が呼びかけ、急きょ、学習会をすることに。講師に共通番号いらないネット代表世話人の白石孝さんをお招きし、マイナンバー制度の仕組みと問題点についてお話していただきました。

■マイナンバー制度の仕組みと問題点

 10月になると住民票があるすべての個人に新しく12ケタの個人番号「マイナンバー」が書いてある「通知カード」が、世帯ごとに簡易書留で届きます。そこには、「個人番号カード」の申請書も同封されてくるとのことです。

●問題点:住民票から個人番号が付けられて、市から送られてくる。転送不可なので、長期不在の場合や、住民登録住所と住居が違うと届かない。DVや虐待の被害者などで、住民登録住所と住居が違う場合などトラブルが起きないか、対応がきちんとできるのか。また、昨今の詐欺事件などから、覚えがない書留は受け取らない方がいるなど、通知カードが届ないことでの混乱が予想されます。
 そもそもマイナンバーは、住民票がないと番号が付きません。住んでいる実態がないと市は住民票を抹消することができるので、住民票がない人もいます。

 政府は、国民みんなにICチップが付いた「個人番号カード」を持つように進めています。初年度に1千万枚、2016年度は500万枚の無料交付を予算化。
 しかし、2003年から「住基カード」が発行されていますが、総数は約800万枚で普及率は5.5%のみです。これを一気に上回る目標となっています。

●問題点:「個人番号カード」は、制度上、公的資格証明に使われ、2018年4月を目途に健康保険証とのオンラインや、さまざまな資格との一体化などを進めるとしています。そうなれば、個人番号が付かない方が公的サービスから排除されることへの懸念があります。また、「個人番号カード」は「官の分野に利用を限定」とされてきましたが、例外規定があり、個人情報保護の視点からも歯止めが無くなることが懸念されています。

 これまで住基カードや運転免許証、パスポートは、本人確認のために偽造されることがあっても「番号」の悪用はありませんでした。それは、番号には価値がないからです。
 しかし、「個人番号カード」は違います。発行当初は、ただのカードかも知れませんが、「個人番号」にはこれからあらゆる個人の情報が集められることになります。「個人番号カード」自体が宝の山になるのです。

■どうしたらいいの?

 マイナンバー制度は、「番号」と「カード」があり、「個人番号」は10月に届く「通知カード」で確認ができます。わざわざ「個人番号カード」を持たなくても支障はありません。申請は、任意なのですから。国はマイナンバーを国民に付け、カードを普及することで、何もかも「ワンカードの一元化」をすることで、監視・管理をすすめようとしています。

 まずできることは、通知カード」と一緒に「個人番号カード」の申請書が同封されていても、任意なので自ら申請はしないことです。公務員や企業などは、勤務先ごとにまとめて申請することが懸念されています。こうした企業ぐるみでの申請はさせない、任意のものなので個人単位での申請にすることが求められています。

 世界的にみても日本のマイナンバー制度と同様の制度があるのは、韓国やスウェーデンなどの少数国だけです。ドイツやイタリアは納税分野に限定した番号制度であり、G8諸国では官民共通番号の制度は導入されていません。多くの人が共通番号制と個別番号制を混同しています。社会保障と税の一体改革を進めるのであれば、共通番号制ではなく納税者番号制度の強化を考えるべきあり、強制ではない「分野別番号制度」の整備を検討すべきです。