八ッ場ダムは、洪水被害の軽減と、1都4県に1日122万トンの水を供給するために計画されました。しかし堤防の整備が進み、氾濫の可能性はありません。また、首都圏の水使用量は最近10年近く横ばいが続き、今は「水余りの時代」です。
今では必要のない八ッ場ダムの建設事業費は、約4600億円。道路工事など関連事業費や起債(借金)の利息を含めると日本一高い約9000億円となります。そのうち東京都の負担は約1千280億円にも上ります。この無駄づかいを止めようと住民訴訟を起こしてから5年、2009年5月東京地裁で、八ッ場ダム建設につぎ込まれる都費の無駄遣いの差し止めを求める裁判の判決は「却下」でした。
●地下水を飲み続けたい
小金井市の地下水を保全する条例には、安全でおいしく飲料水として適している「地下水」を飲み続けることが明記されています。小金井市の水道水源は、約7割近くが地下水。多摩地域では平均約3割、1日に約40万トンの地下水が水道水として利用されています。しかし、都はこの地下水を切り捨ててダムの水に切り替える計画を進め、ダム建設の必要性を打ち出しています。莫大な費用は、水道料金を値上げして都民から回収することでしょう。
先の都議選で野党が過半数を占め、都議会では八ッ場ダム建設に反対会派の議員が多くなりました。また、民主党の参議院議員、大河原まさ子さん(東京・生活者ネットワーク元代表)が、八ッ場ダムの建設中止を求めて国会で質問しています。必要のない公共事業より、福祉や教育、環境保全にこそ税金を使うべきなのです。ようやく、無駄な公共事業をストップできる国会に変える、その時にきています。(小山美香)