子ども食堂見学記 -地域の子どもを、地域で見守る-

 小金井ネットには、4つの部会(環境・子ども・平和・福祉)があり、会員が関心のある分野に参加して活動をしています。今回は、子ども部会のメンバー、邦永洋子さんからの報告です。
 

 7月15日、豊島区の要町にある子ども食堂「要町あさやけ食堂」(NPO法人豊島子どもWAKU WAKUネットワーク)を、田頭議員と視察に行きました。

 自宅を月2回、地域に開放しているネットワークの山田さんのお話をおききしました。
 大きなパンのオーブンがあり、キッチンも二か所にあって普通のお宅にしては…と思ったら、もともとは、ホームレス支援のために奥様がPTAのお仲間たちとパン屋をしていたそうです。お亡くなりになってその志を「子ども食堂」という形で継いでいるということでした。
 この法人は豊島区のプレーパークの栗林さんが関わっているということもあり、同じ活動をしている私も、プレーパークの次は暮らしの支援をと思っていたので大変興味深く参加しました。

 豊島子どもWAKUWAKUネットワークHPをみると、「地域の子どもを地域で見守り育てるために設立いたしました。 相対的貧困率は悪化しつづけており、2014年の厚生労働省の発表によると、16.3%であることが明らかになりました。 教育格差、貧困の連鎖が広がっています。 生活保護を受けている、もしくは、年収が生活保護費とかわらないワーキングプアの家庭で育つ子どもが、6人に1人いるのです。 地域の子どもを、地域が見守り、学びや暮らしを有機的に支えるネットワークをつくり、 子どもの未来を明るく変えていきたいと願っています。 さまざまなカタチの居場所を通じて、信頼できるおとなや若者につながったとき、一人の子どもの人生が大きく変わる可能性があると信じています。」とあります。
 貧困につながる課題を重く受け止めての事業であると分かります。しかしながら、この取り組みはそれだけではないなと感じさせます。

 昔は生活の中で地域とつながらざるを得ない背景があり、そのため煩わしさもあったかと思います。今は都市化によって家族の形態、地域が大きく変わったことで、その煩わしさはなくなりましたが、新たなつながりの作りにくさを身近に感じます。孤立しての子育ては、本当につらいものがあります。
 私は、プレーパークの活動の中で、地域の中に緩やかなつながりの再構築をイメージしてきました。遊びの場所に来る親子にかかわり声をかける、挨拶のできる人を増やす。それだけで地域が身近になっていくのを感じました。

 食堂に来ている親子にはシングルマザーが多いということでしたが、地域のお年寄りや子どもだけでも食べに来ることができます。これからは地域の再構築には「食」がキーワードになっていくのではないか、そのように感じます。
 貧困を支えるとなると個別の伴走支援が必要なケースも多々あるでしょうがこのような食堂の活動は「場」の支援であり、つながりを支援するコーディネートの役割を持ちます。出会いの中で伴走支援が必要なケースもあるが、それが目的にはならないと山田さんはおっしゃっていました。だからと言って切り離すわけで はない柔軟さもみうけられ、それこそ市民の力だなあと感じます。一階でわいわい言ってご飯を食べる一方で二階には子どもたちの遊び場も用意され、けっこうなにぎやかさでした。「住宅地の中で苦情とかでませんか?」と伺うと、「周りはみんな昔から知っている人ばかりだからね」とにやり。
 それにしてもこのお家の気持ち良さ。風の通る、いろんな人がいる、声の聞こえる家。何だかこちらも懐かしく温かさに触れた夕べになりました。(邦永)