野川の水質と生き物を調査

川辺の環境調査報告〜レポートNO.94から

くじら山原っぱ近くの小金井新橋から上流を撮影。野川は地域の子どもたちにとって絶好のあそび場である。
くじら山原っぱ近くの小金井新橋から上流を撮影。野川は地域の子どもたちにとって絶好のあそび場である。
 今年7月26日、小金井地域協議会(小金井・生活者ネット他4団体)は野川5ヶ所の地点で、川辺の環境調査を行いました。4年目にあたる今年も、カルガモやハグロトンボ、アメンボ、モツゴ(魚)などやヒメガマやオギ、クレソンなどの植物が生息し、水質も例年通り良好であることを確認しました。

●生物が多様なほど水はきれい

 調査に先立って、小金井周辺の野川の生き物を約20年にわたって観察された平井正風さんにお話しを伺いました。
 平井さんが観察を始めた昭和59年当時は上流の国分寺市などの排水が流れ込み、汚濁がひどく、糸ミミズやヒル、鯉などしか観測できませんでした。しかし、下水道の普及とともに、急速に透明度が増し、カワセミやコサギなどが生息し、生物の種類は年々増えていったそうです。「生物の多様性こそ、川の環境に必要な要素。水辺の草を刈り残すようになってから、ハグロトンボや稚魚も帰ってきた」と平井さんは語ります。

●雨量が多いと下水が野川に流れる

 しかし集中豪雨など、雨の降水量が一定以上になると野川の川岸に設置されている排水管から、雨水とともに汚れた下水が野川に流れ込みます。市街化によって雨水が浸透できる地面が減少したため、多量の雨水が下水管に流れ込みオーバーフローするからです。また平成2年には流れが枯渇する等、さまざまな環境の変化を受けながら、今に至っています。水質調査も重要ですが、川全体を知るには子孫を残すため何十年も生きてきた生物の観察が大切なのです。
 野川は子どもたちの遊び場と同時に環境教育の場になっています。どの石の下にどんな生き物がいるのか、子どもはよく知っているそうです。生き物の立場に立って考えられる子どもは人にも優しくなれるのです。四季折々、懸命に生きてきた野川の生物を観察してみてください。(杉本早苗)