シングルでも、不安なく生きられる賃金と社会保障を!

働き方を考える

支えあって暮らせる社会のビジョンを描こう! 

 七人が亡くなった秋葉原での連続殺傷事件。身近な場所での悲惨な出来事に驚いた日の夜中、容疑者と同じく派遣工として自動車工場で働く同年の友人から、久々に電話があった。話は事件のこと。容疑者の絶望感は他人事ではないという。「派遣は危ない奴、というイメージが一方的に広がると思うと気が重い」。気丈な彼がめずらしく呟いた。
 1979年生れの私は「ロスト・ジェネレーション」ド真ん中。つきまとう不安の核心は、やはり働き方の問題に行き着く。働く女性の半数以上が非正規雇用。病気にでもなれば給料が減り、家賃や保険料が払えず、・・・・・・という展開は必至だ。団塊世代の親たちは「自分たちだって大変だった」と言うけれど、今は男だって家族を「養える」賃金は保障されていない。
 野宿者などの生活支援にとりくむ湯浅誠さんは、今の日本社会はセーフティネットが底抜けで、つまずいたらどん底まで真っ逆さまの「すべり台社会」だと言う。不安と孤独が、人々を暴力や自死に駆り立てる。
シングルでも不安なく生きられる賃金と社会保障、そして、助け合って暮らせる社会のビジョンをみんなで描きたい。もう一つ、働くことは成果を出すことだけれど、それは人が学び成長することを含みこむものであるべきだと思う。(遅まきながら正規雇用に就いた時、就業時間内に研修教育が十分確保されていることに、妙に感動した。)
 冒頭の友人は、「ガテン系連帯」で派遣労働の実態を知らせる活動を続けている。ぜひ若者の声を聴いてほしい。(須永陽子)